ジャパネット高田社長の話 会社とアート作品

ジャパネットタカタの高田社長の話を聞く機会があった。

「感動を語る」ことを強調していた。高田社長にとって、ジャパネットは自分のアート、表現方法なのだと思う。昔、GMの社長が「GMはアートな車を作ってる会社ではなく、車を作っているアートの会社だ」と定義したという有名な話がある。自己の表現方法としての「会社」を思い浮かべるのは一般的でない。しかし、ベンチャーやってる社長は、みんな会社は自分の作品、ビジネスは自己の表現方法だと思っているハズだ。

アイデアの具現化、顧客へのマーケティング。アートとそっくり。具現化の技能、伝えるコミュニケーション能力。売れるアートも伸びる会社も、条件は同じ。だからこそ、ビジネスにアートの要素を持ち込み、アートにもビジネスの要素を持ち込めば、新たな展開が開ける。

高田社長は、マーケティングは常に受身で考えていると言っていた。「伝えたか」ではなく、「伝わったか」を大事にしている。より多くの情報をテレビ、ラジオの向こう側にいる人と共感できるような工夫をする。ひとつが、手、指を使うこと。「この液晶画面大きいんです」と言いながら、指でその画面をなぞる。そうすると、テレビ見てる人の視線はその指を追いながら、画面の大きさを実感するという。「心の目で見させる」という言葉で、実感の共有を表現していた。

マーケティングの学会定義は、「顧客との関係性」である。関係性を築く細かいノウハウは、企業の中にたくさん存在している。ジャパネットタカタの商品選択基準は、メーカーの商品開発者のココロに感動したかどうかであるという。「関係性」の上に、「感動」という机上では分析できないモノを載せる。商売、ビジネスも、アート作品と同じだ。

ジャパネットタカタの売上構成:カタログ300万部、40%。テレビ20%、ラジオ10%、インターネット170億

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ポスト産業資本主義と水墨画

文芸春秋3月号に岩井克人教授の現代ビジネス分析が掲載されている。産業資本主義では、モノの所有、生産が富を生み出す。つまり、安価な労働力と売価の差が利潤となった。労働賃金が上昇すると、利潤が薄くなり、ポスト産業資本主義に移行しているという。ポスト産業資本主義では、違うモノを開発した企業が利潤をあげる。違うモノ、新しさは、同じ機械では生産できない。ヒトしか生み出せない。そこで、ヒトが投資対象になるという分析だ。社会的に見れば労働賃金が上昇し、生活が豊かになれば、嗜好が多様化し、ヒトと同じモノを身につける見栄の感覚が減少する。

ウォーホルがキャンベル缶を作品にしたのは、まさに産業資本主義のアートだったからに他ならない。ポスター、リトグラフの再生産も、産業資本主義の社会を写していたのだろう。音楽も、CD,ラジオ、レコードを使うことで、再生産を繰り返すことが可能だ。水墨画は、印刷すれば再生産を繰り返すことができる。アートのビジネスは、こうした商業的広告的デザイン的な換言で、利潤をあげてきた。アートの大量生産、どんなヒトも同じポスターの絵柄を見る。キャンベル缶はキャンベル缶である。

ポスト産業資本主義社会で水墨画は、どのような文脈を持てるのか?水墨画は墨一色の芸術である。言い換えると、表現の制約、鑑賞の自由がある。産業資本主義は、生産者重視の社会である。基本的にモノ不足であるから、メーカーが一番力を持つ。現在は、モノ余りの世の中である。消費者は欲しいモノしか買わず、メーカーよりもビックカメラ、ヤマダ電機、イオンなど流通が価格決定権を持っている。生産者重視の社会では、アーティストの主張が詰め込まれた作品が作られた。偶々、新日曜美術館を見ていたら、池田満寿夫が芹沢介特集で、最近デザインは自己主張が強いが芹沢さんは違うということを話していた。1984年の映像。

そこで、水墨画である。色の多様性をハナからもぎ取られた水墨画は、色の決定権を見るヒトに委ねる。墨色の紅葉は、見るヒトによって黄色、オレンジ、真っ赤に感じる。同じヒトでも、見る時間によって色が変る。表現を制約することで、変化を内在するアート。受け手にとって常に新しく、変化するアートになる。

多様化な社会、アートの利潤はどこに生まれるのか。大量再生産にはお客さんは振り向かない。かといって、1点モノを生み出して得られる収入と生活に必要な支出は不釣合い。先週のヘラルドトリビューンに、JPEGが商売になっているというNY発の記事がでていた。JPEGは流通コストがタダに近い(インフラ業者以外)。JPEGに経済価値がつくなら、こんないいことはない。また、オークションなどインターネット上は、より手軽に身近だ。流通市場が身近なら手放すときのリスクも少ないから購入しやすい。自分のコレクションも、ネット上で公開する時代が普通になるのだろうか。

水墨画は、ポスト産業資本主義に最も呼応したアートになりうる。それには、多様なヒトが多様に見える仕掛けを施すことが必要だ。

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水墨画描き方菊

水墨画 花の描き方 - 菊 –

花びら

  • 筆先を平らに、少しだけ先を狭めます。
  • 少し濃い薄墨を使います。
  • 花芯に近い花びらは、まだ若く元気が良いので、少し力強く描きます。
  • 筆を紙に下し、半秒程度待ち、そこから筆を払います。半秒待つことで、花びらの先端の色味を表現します。
  • また、平らにした筆先の筆跡が、そのまま花びら先端の丸みを表現します。
  • 少しだけ軸を回転させることで、花びらに曲線を付けます。
  • ただし、筆の動きは直線で、曲げたりはしません。
  • 花芯は、8枚で描きます。軸の回転で、8枚が球体に見えるよう花びらに曲線を付けます。筆を払う方向に注意。全ての花びらが一つの点を目指しているように描きます。
  • 外側の花びらは、花芯より長く。花びらの根元は全て中心に。
  • 菊の花の形は、横長、ダイヤモンド型に収まるように描きます。

  • 一つの葉は、8回で描きます。
  • 全て中心から葉の先端へ筆を動かします。
  • 最初は、葉の最上部の部分、次に中、最後に最下部の部分。
  • 葉脈を、細い濃墨でいれます。
  • 最初に真ん中の線。
  • 墨が乾かないうちは、目立ちませんが、乾くと浮き上がってきます。

全体の抽象・分析の抽象 見立てと分解

Abstract この写真何に見えるだろうか?カビ?魚の群れ?種?何に見るかは、人それぞれの自由だ。水墨画は、画題の精神性という側面から解説されることが多い。自分の心のうちを具象を使って表すという。しかし、この解釈の仕方って、宗教画を研究するイコン学?の影響を受けすぎではないだろうか?僕の仮説は、ただ写実に自然を写し取る絵にすぎない、というものだ。

歴代名画記(大抵水墨画評論の古い本は、この本を参考にしてる)に、「吹雲」という話が載っている。墨を口に含んで、吹き付ける。それを絵と称す。あるいは、王默という人が、「酔って髪に墨をつけて描く」という話が載っている。落語にも、左甚五郎が描いたグチャグチャとした何かが、雀となって飛び立つ、抜け雀という話がある。

このような絵画の考え方、分析好きな西洋では発展しない考え方だろう。プラトンは、絵描きを実態と本質の間を形にしてしまうとして、嫌っていたという。より本物ぽく、動きをデッサンし、色を描く。色は光である。本質に近づくための文脈が、印象派を産み、キュービズムを生んだ。西洋アートの文脈で、抽象を描くとイッちゃう作品になる。植物、生物の生態、ファーブル昆虫記が突き進むと、もう何かわからない原子、電子の世界での議論と同じである。モンドリアンの樹、ピカソの顔の絵を見て、子供が美しいと思うだろうか?僕は少なくとも綺麗だとは思わなかった。それは、人間の脳で作られた人工の世界だからであろう。

一方、適当に吹き付けた模様に何かを見る。森を見て、西洋的ロジック分析思考を働かすと、フラクタルになる。全体を見ると、例えば蛙森のような呼び名が生まれる。水墨画の抽象、村上隆述べるところの西洋アートの文脈に載せるのか、東洋の伝統を意識するのか、アートのマーケティングで考えるべきところである。

全体と部分という話は、どうしても乗り越えなければならない課題だ。しかし、こんなことを考えるのが何の役にたつのか?多数決、民意、人気、検索順位、現代社会の行動規範は、個別の積重ねが全体の総和、意思に等しくなるという概念に基づいている。しかし、実感として、そうじゃないこともあるんではないかと感じることが多い。例えば、グーグルだって検索1位のサイトが、自分の見たいサイトでないことは多い。それに、巷では世界で一つの花、個性を強調しているのに、議会の意思決定は多数決なのは、矛盾していないか。合成の誤膠を、アートで表現できるなら、それは、全体性、調和という概念のプロモーションに有効だと考える。

分析、分解を突き詰めた結果、あまり美しくない図になるのと、雲の形に美しさ、違う概念を導入するのと、どちらが見ていて心地よいだろうか?後者であろう。自然の形状から美を取り出す取り組み、「見立て」。水墨画の抽象画は、分解分析の抽象ではなく、全体、見立ての抽象、西洋アートに対するは新しい概念軸ではないだろうか?

さて、水墨画の精神性、題材、構図に精神性を求めるのは無理があるだろう。自然を紙の上でただ表現した、にすぎないと思う。鳥を描いて、鳥に見える。虚空を見つめるのでなく、餌を探す、他の鳥を見ている、だけだと思う。あるいは、紙上に自分が空を見て、見えたものを紙に表現したのではないかと考える。水墨画の抽象画、分析でない絵画としての水墨画を作っていくべきだ。

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