水墨画技法の基本を「紅葉」を描いて学びます。
葉
STEP
準備
- 筆は直筆(筆をまっすぐ立てて)で描く
- 1枚の葉は「7つの小葉(しょうよう)」から構成
- 毎回、描く方向に合わせて筆を持ちかえること
STEP
中央の葉(1筆目)
- 一番長く、まっすぐ上に伸びる葉
- ここが軸になる
- 長くしすぎないように注意(バランスが悪くなる)
STEP
両端の葉(2筆目・3筆目)
- 左右一番外側の葉
- 中心の葉から広がるように、やや下向きに描く
- できるだけ広げる(ほぼ直角 or やや下げる角度が美しい)
STEP
中間の葉(4筆目・5筆目)
- ステップ2の間に描く
- 中心の葉との角度を考えながら、広がる感じで
- 4・5筆目が狭いと窮屈な印象になるので、しっかり広げる
STEP
小さな葉(6筆目・7筆目)
- 中心軸の下、左右に1枚ずつ
- 他の葉より短めに、上向き気味に描くと全体のバランスが良くなる
ポイント
・終筆は筆先で丁寧に尖らせて終える → 葉の先端が鋭く美しくなる
・途中で筆を上げない
→ 上げると先端が丸くなってしまう
・毎回筆を持ち替えて方向を意識
葉のセット
1セット = 5枚の葉
1回の墨で5枚すべてを描く(途中で墨をつけ直さない)
葉は 互いに少しずつ重ねるように配置
STEP
準備
- 墨をしっかり筆に含ませる(5枚分描ける量)
- 筆は 紙に垂直 → そこから右に約30度傾ける
- 最初の1枚の葉からスタート
STEP
1枚目の葉
- 自然な角度で描き始める(例:やや右上方向)
- 7筆のルールに従って1枚の葉を完成
STEP
2〜5枚目の葉
- それぞれ、前に描いた葉に少し重なるように配置
- 描き出しは「前の葉と接する部分」から始める
- 葉先がしっかり出ていれば、形として認識されやすい
- 角度や方向を少しずつずらすと自然な広がりに
ポイント
・筆圧のコントロールが重要
→ 墨が徐々に薄くなるが、それが味になる(にじみ・濃淡)
・最初に描いた葉の墨が濃く、最後はやや薄くなるのが理想
・最後まで筆を離さず、すべて描き終える
墨を付け直すと一体感が失われるので注意
幹の描き方
STEP
準備
- 筆にしっかり墨を含ませておきます
- 最初は筆を 立てた状態(直筆) にします
STEP
筆を置く
- 筆先だけを紙に軽くつける
- 幹の上端に筆先をそっと置くイメージ
STEP
筆を引きながら寝かせる
- ゆっくり下方向に筆を引きつつ、筆を横に寝かせていく
- 筆毛が全部紙についた状態で描き進める
→ 太く力強い幹の胴体部分を表現
STEP
最後に筆を立てて払う
- 下まで引いたら、再び筆を立てる
- 最後は筆先だけでスッと払うように紙から離れる→ 幹の根元や枝分かれ部分の自然な余韻をつくる
STEP
幹の枠線を入れる(線描筆で)
- 細めの線筆や、筆先だけを使って、幹の左右の輪郭線を入れる
- 墨の濃淡、かすれを活かすと木の質感が出やすい
- 必要に応じて節(ふし)や割れ目、枝の始まりを加えるとリアルさが増します
ポイント
・「始めは細く、途中で太く、終わりにまた細く」
→ 木の幹らしい自然な形になります
・寝かせたときの筆の表情を大切に
→ 墨の濃淡・毛の流れ・かすれが木肌になる
・線描は太幹のあとに軽く輪郭や枝を補助的に入れるイメージ
枝
STEP
幹から引き出す
- 幹の上部・側面などから、自然な分かれ方で枝を伸ばす
- 最初の線は幹に接続するように細く引き出す
- 力を抜いて、しなやかな線で描くのがコツ
STEP
先端の枝を描く
- 幹から引いた枝線の先に、1〜2本の細い枝を分けて描く
- 上向き気味に描くことで、生命感・軽やかさ・自然な動きが出る
- 描きすぎず、余白を生かす
ポイント
・「引き算の美学」:あえて描かないことで、空間に広がりや風を感じさせる
・濃淡・かすれも表現の一部:墨の残量に応じて自然な変化を楽しむ
・先端ほど細く・軽く・上へ:構図に動きを加える意識で