TBS、楽天、議決権行使委任状 プロキシーファイト

楽天が、TBSの株主に議決権行使の委任状を送付している。CCCの増田社長、楽天三木谷社長、2名の取締役就任、TBSが定めた濫用的買収者への防衛策の定款変更が目的だ。TBSからも、自社のネット戦略を記した文章が届いた。

楽天の戦略を読むと、具体案がないのに気づく。一方、TBS側のデジタル分野の提携図も、玉石混交だ。「融合すべきだ」「もう現在が融合形だ」というべき論、そもそも論の掛け合いだ。融合して何をするのか?提携図も利益ベースなど数字資料があればわかり易かったと思う。

テレビとネットの融合・・・読者は、どんな姿を思い浮かべるか?こういうときは、どこがお金を稼ぐ主戦場か?を考えればよい。

アメリカでは、録画視聴がホットな話題だ。元々消費者として自分を考えれば、テレビ局幹部だって録画で見てる友人のほうが多かったはずだが、ニールセンが数値化した。調査会社のニールセンが、2006年9月からDVDレコーダー(DVR)への録画視聴のデータを取り始めている。その結果、1)録画視聴は、早送り(fast-forward)で見る、2)大体10%が録画で見ている、ことが発表されている。

そこで、広告側は、1)DVR視聴の80%はCMを見る、2)DVR、オンデマンド、様々な視聴機会を加算すれば、視聴率はアップする、3)1-2分の遅れ視聴には、視聴率に加算されてない、などと反撃している。(Ad Week)

もし、広告代理店の主張が主張として、テレビ局も今春から「あんなの数字のマジックだ」と強弁しなくなった。そして、1)プライムタイムは、今まで通り広告放送、2)オンライン、DVD市場で有料収入、という2面で番組コンテンツからの収入を得るビジネスモデルを真剣に考えている。あらゆる局面で、コンテンツを見てもらう戦略、「コンテンツ・コンサンプション(2007年1月CES、CBSのムーンベス社長)」だ。

日本の民放テレビ局の放送以外の収入は、例えばディノスなど通販は、フジテレビ全体収益に対し、約10%。映画、DVDなど映像関連も約10%。日本テレビは、文化事業というセグメント収益が、全体の19%だ。買収して伸ばすのか。放送法改正で持株会社化が可能になっている。どんな事業会社を買収するのか?

マイクロソフトが買収したRightMediaは、媒体の死に枠をWeb上でマッチングするシステムを持っている。テレビ広告も、システム化による効率化、収益向上の余地がたくさんある。電通もCMGOGOというテレビ枠の広告配信システムの取扱い枠を増やすと発表している。

テレビ局側も、CM枠にミニキャラクターのミニ映像を作って挿入し、関心をえようとしたり、昔のテレビのように番組出演者がそのまま商品を宣伝したり、クリエイティブ面での工夫を重ねる。

TBSと楽天の提携は、1)番組を楽天市場で販売、2)TBSの広告枠を楽天広告とバンドル販売、を目的としていると考えられる。

TBSはコンテンツを作り出す能力を持っている、一方、楽天はマッチングサイトの企業だからクリエイティブ能力がない。楽天ビジネスにとって、大きく寄与する提携だ。しかし、楽天は技術のクリエイティブ精神もなさそうだ。。。

ハリウッドが新たな3D映画を2009年から配給すると発表した(2007年5月21日International Herald Tribune)。映画館で撮影する海賊版防止にもなり、またテレビでは味わえない娯楽だ。

楽天とTBSの提携は、1)広告部分の事業ポートフォリオ案、ネット広告会社の買収など、2)新たな映像表現への夢、 という、ビジネスとお金で買えない将来への期待感、両面が感じられないのが、あまり盛り上がらない点ではないだろうか。

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