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水墨画の描き方 スズメ(雀)

 スズメ(雀)といえば、茶色、頬の黒い斑点、小さい、ピョンピョン跳ねてる、、なんてことを思い出します。「雀」って字は、「小と鳥」が重なってできてるぽいし、コトリなイメージです。(白川静「字統」で調べたら、やはりそうでした。因みに「じゃく」と読んで、子供の頃好きだった桂枝雀とか思い浮かべますが、マージャン(麻雀)のジャンでもあります。(敬省略))水墨画を描くときも、それを頭に浮かべながら描くといいですね。

 ところが、スズメってマジマジと見たことがないので、実際どこがどうなってるのか、わかりません。。そこで、とりあえずアトリエ前の道でボーっとスズメがエサをつついているのを眺めつつ、写真を撮ってみました。

水墨画、スズメで最初に思い出すのは、可翁や宮本武蔵の雀と竹でしょうか。竹と雀、、自分の周りにはなかなかない組み合わせです。。結構、痩せていて鋭い雀です。それと、正面から描くと、鋭くて恐いです

都会のスズメは、そんな鋭くないですね。都会の鍛えられ方は、禁欲的でなくて、よりよいものをつかむ欲に対して鋭くなっています。

描き方

頭:中くらいの墨、筆はほぼ机と平行に倒して、筆先をまず紙につけ、少し筆を引いてから、筆全体を紙につけます。少し、半円を描くような動き。頭は、丸に近いほど、カワイく、子供のスズメぽくなります。あまり流線型にならないほうが、スズメぽいかも。

筆を洗って、濃い墨を、筆先は堅く、絞ります

目:半円を描く感じで動かした筆の跡と、最初に筆が紙に付いた尖がり部分の間の丸い湾のような空間に目を描きます。ホントのスズメの目は、黒い部分にあるのですが、水墨画だと黒い上に黒い目だとわからないくなるので、下半分だけの目を描きこむことにしちゃいます。

目の真ん中は、白く残しても、黒く塗りつぶしてもどちらでもOK。黒く塗りつぶすと、黒目が大きいかわいい感じになります。

くちばし:そのままの筆で、くちばしを。一番最初に筆が紙に付いた場所に、三角形なくちばしを。上の辺、下の辺、大体120度以上広げて、短く描きます。つぶれた三角形な感じ。

斑点:くちばしが終わったら、そのまま斑点を。ここは、とにかく黒く。コツは、頭の終わりと斑点の終わる位置は直線上で同じになることです。斑点の場所は、何回も描くうちに、ここがいいなってというポイントが紙から浮かび上がってきます。

筆を洗います。墨はちょい濃いめ。墨をつけたら、筆先を指で広げて、さらに毛の先っぽを指でつぶして、毛先を平らにします。

羽根:羽根は胴体に格納されている、胴体の上にのっかってる感じ。なので、あまり大きく(幅も長さも)ならないよう。まずは、中の羽根を、2回で。筆を紙に付けて、ひと呼吸。それから、スピード感持って、払いましょう。羽根の後ろから、頭の方へ描いたほうが雰囲気がでると思います。続いて、切り羽。これも2回で。先っぽが窄まって、格納感がでてるといいと思います。羽根は自分が最初描きだそうと思った場所より1センチほど手前で、長さも2センチほど手前で終わらせるくらいの短さ、といった心持でちょうどよいと思います。軽く払う、スピード感を大事に。

筆を洗って、毛先を平らにします。薄い墨をつけて

胴体:軽く半円、小さな下半円を描くように胴体の輪郭を描きます。スズメも胸がありますから、胸は少し張った感じで、切り羽のちょっと先に向かって。描き出しは、斑点のちょっと下側からでいいと思います。切り羽に向かう最後の部分は、少し色が入ってもいいです。

筆を洗って、毛先をまた平らに。墨を少しつけます

尾羽:尾羽もあまり長くないほうが、スズメぽいかと思います。尾羽の先から手前に払う感じで。これも、筆が紙についたら、一呼吸ついて、払います。そうすると、尾羽の先が濃くて、次第に薄くなるグラデーションが綺麗にでます。スピード感が大事です。また、尾羽の描き終わりが、胴体とつながってる必要もないです。むしろ、手前で終わらせて、あとは目の錯覚、脳の働きで、つながってるように見せるほうがシンプルでよいと思います

筆を洗って、目を描いたのと同じくらい、濃い墨、堅く絞った筆を

脚:鳥の脚は、近くで見るとかなりしっかり、ちょっとグロテスクな感じもします。でも、リアルに描かないほうが、かわいい感じになります。脚の描き始める場所は、胴体の毛と交わるところにして、墨が滲むようにしましょう!薄い墨の水分が乾かないうちに、濃い墨を載せて滲んじゃう感じが水墨画を描いていて一番好きな瞬間なんですねー。ちょっと後ろめ、お尻に近いほうについてるとバランスがとれます。奥の脚は、指の部分だけでもいいと思います。指も前3本だけで、後ろはたまに省略してもヨカです。

ここまでできたら、木の枝か、エサでも描いて、スズメがどこにいるのか描いてあげるといいと思います。描く部署が多いと、スズメがどんどん膨らみます。思った以上に小さく、短く、軽く、コンパクトに描いてみましょー

描き方の動画

水墨画 蓮

蓮の花を見る機会ってあまりないですね。お寺とか、名所も微妙に都内から離れているところ。。朝早く行かないと。。思うとなかなかいけません。

上野公園の不忍池は蓮の花観察に絶好の場所です。蓮の花と葉で、池が覆われていて、水面は見えません。冬行くのとすっかり景色が変わっていて、びっくりです。

水墨画の蓮の絵は、たいてい線描きになってます。これはつまらない・・・日本式の水墨画にグッとくるのは、一筆で濃淡と形を描くところ。彫刻が石からなにかを削り取るのと同じく、紙から一筆でなにかを削り取るところだと思います。私も蓮の絵を線描きでなく描きたいと思いました。

蓮の花、葉っぱも・・・とても大きいです。古代の風景、始祖鳥とかが舞っていた時代の植物はこんな感じかなと思います。古代の風景、厚みと大きさが紙から浮かびあがるまで・・・一番難しいのは、こちら側に向いている花びら。何回描いても完成がありません。

結局、何回も描くうちに、向こう側の花びらは、省略してしまいました。。どうでしょう。

水墨画 年賀状 牛

年賀状用の素材を作ろうと牛を描いてみました。牛も、巷にデザインされたものがあふれています。野牛、乳牛、ミルク・・・ 

まず、描く前に自分の頭にある牛を思い出しましょう。自分がまず思い浮かべたのは、カールおじさんでした。でも、調べたらおらが村に牛はいませんでした。あとは、スイスアルプスにいた乳牛。牛乳パックに描かれてる牛。絵だと、十牛図、若冲展のとき見た長沢芦雪の黒牛図屏風とか・・・ 畑を耕している牛とか

ほかにも水牛も牛だし

乳牛だと黒と白のブチ、畑を耕している牛は1色。。とたくさんの牛がいます。世界中の人が絵を見て、これが牛とわかるには何が特徴的なのか、頭の中で今まで見たイメージを混ぜては、醸造します。1週間くらい経ったら描き始めましょう!

墨絵の場合は、リアルに描くより、描く場所を牛とわかる極限まで減らすのがいいかと思います。どこを減らすかは、自分次第。減らし方に人生が滲み出てきます。

イメージの熟成と、削り。ここが表現活動の一番面白いところです。頭のイメージと、筋肉の運動。脳から手へ伝える神経に、人それぞれの個性が宿ってる気がします

熟成は頭、削ったり付け足すのは手、どちらも鍛えればうまくなる作業です。どちらか一方だと絵はできません。企画部門と製造、製造と販売、共同作業がないと形にはなりませぬ

水墨画 鯉 昇鯉?、登竜門

四谷のホテルニューオータニにある、綺麗な日本庭園。そこに、滝と池があって、鯉がたくさんいます。錦鯉。鯉について調べると、錦鯉は日本で生まれたものだそうです。原産は、中国。灰色の原種は、いかにも泥の中にいそうなお魚です。

どんな環境にも適合しやすいお魚。改良を加えられた錦鯉は体高が高く、もともとの灰色ぽい種類はメリハリなく長い体。江戸時代の鯉の絵を見ると、そんな感じ。

国立博物館に、水墨画の登竜門の絵があり、口がおおきくて印象的です。よかったら。

登竜門は、鯉が滝を登って、龍になるという中国の昔の話からでた言葉です。。。

これは、江戸時代のだれかの絵を元にしてます。ロンドンで買ってきた「Haiku」という俳句の英訳と江戸時代の浮世絵とかが見開きに載ってる本でした。

ロスとかロンドンに行くと、日本の昔の絵の大型本(よく高級リゾートのロビーとかマンハッタンのアパートの玄関とか、においてありげな)がたくさん売っていて、しかも大抵、”SALE”・・・そこまで売れないんでしょうねぇ、安いので、たくさん買いこんで参考にしてます。

エラの横のひれの付き方が独特。

目が大きいのか小さいのか。。鯉のぼりとかでもデザイン化されているのでそういうのを参考に。

ひげは2本です。口は上唇が堅く1本気な感じで。

うろこは、悩みどころですね。リアルに描くというより、錦の模様を墨をボタッとおとして誤魔化しましょう。

他の鯉の墨絵は画像をクリックしてください

水墨画 桜

桜の花びらは、描くのが難しいですね。丸すぎると梅になってしまうし、長細くてもちょっと違う花になったしまいます。世に普遍している桜の花びらは、先が二つに裂けてますね。その感じをだすとなると、花びらを2回に分けて描くことになりますが、そうするとちょっと説明が過ぎてしつこくなります。

その辺は、筆の先を割って払う感じで描くとうまくいくかも。

重なって咲いてるところは、5枚全部描く必要ないです。これも全部描いてると説明ぽくなってしまいます。このへんがデザイン的な描き方と水墨画の違いでしょうか。

とりあえず、3枚くらいずつ描いていくと、パァーっと咲いてる感がでます。

あとはオシベメシベで誤魔化しましょう。メシベオシベは、筆を紙につけてから、一呼吸置いてから払いましょう。それくらいのほうが、メシベの先の丸い部分を表現できます。

幹は、筆に薄い墨をつけ、最後に先端に濃い墨をつけます。筆を寝かせ、紙にべったりつけてそのまま引くと、濃淡がでます。桜の幹についている引っかき傷みたいなものは、筆の先を割って描きます。幹を描いてすぐ描くと滲んでいい感じになります。

そのとき多少湾曲させると幹の丸みがでます。

枝も、どちらかというとゴツゴツした感じで。小さい芽が交互についてるので、先端のほうの枝にちょっとずつ筆を置くと、リアル感がでます。

それと、蕾、少し群れから離れた花などを付け加えると一層それっぽくなります。お試しを

コチラにもまとめときました。

水墨画 雪景色

紙の色が水墨画で最大限の白です。

雪の白を最大限表現するには、河を最大限黒くするしかありません。

白さの強調には黒を。対比を使った表現方法です。

レンブラントの「ヤン・シックスの肖像画」、赤いコート、金色のボタンなど目立つところはたくさん指摘されてますが、自分の目に最初に飛び込んだのは、襟の白さでした。墨絵のやりすぎでしょうか。顔を強調するように見えました。

水墨画 ふくろう

ふくろうとみみずくの違いは、目の上に翼のようなものがあるかないかだ。ふくろうは、翼がなく丸い頭、みみずくは両側に広がるような翼があって、目がちょっと釣り目のように恐くなる。

ふくろうは、数多くデザイン化され、人の目にとまっている。こういう動物・植物はリアル+デザイン化されたものを、ミックスさせて描かないと人々に納得されない。。。ので難しい。。花も同じだ。ひとくちに薔薇といっても薔薇自体に色々な種類があるし、ROSEが意味するものも地域によって違う(ROSEくらいだとあまり変らないかもしれないけれど)

そんなことを考えてると結局自分の見方しか頼るものはない、という結論になってしまいます。。

水墨画 金魚

金魚は夏の風物詩。冬を越して、まだ火鉢で生きている金魚を見てビックリしたことを思い出します。墨をすりながら、こんな金魚の思い出を色々思い出してみましょう。金魚のどの部分が一番印象深いですか?尾びれ、頭の盛り上がり、赤、白だけど銀色ぽく光って気持ち悪いヌメリ、、、、僕の場合は、冬を越えて伸びきった尾びれです。

一番印象に残っている部分、尾びれをヒラヒラ描けば、あとはなんとかなります。水墨画は、なんとなくそれっぽく見せる芸術です。リアル感を追求するより、自分の記憶に忠実に筆を走らせてみましょう。それが、世界でただひとつ、あなただけの金魚になります。

水墨画 描き方 ガーベラ

ガーベラ、よく花屋さんでみますねぇ。(画像をクリックすると水墨画作品集にとびます)鮮やかなオレンジ、赤、黄色が多いので、大変目立ちます。この派手な花をどう墨で表現したらいいのか。視覚が記憶であるならば、ガーベラの形をシンプルに再現できなければ、なんか違うなぁと感じられてしまいます。さらに、赤、黄、オレンジ、派手な色で丸いもの、太陽も思い出してもらえれば、墨の濃淡に炎、強い光を感じ取ってくれると思います。

ガーベラ、よく見ると花びらが密集しています。さらに、まっすぐで力強い花びら。花に細い骨のような筋が入っていて、直線的な印象を与えます。花びらの先っぽは、少しギザギザがついています。

こんな花びらを表現するには、まず筆先を割って、先端のギザギザがでるようにします。直線的な力強さを出すために、外側から内側にスピード感あるタッチで描きます。筆を紙に下ろして、動き出す前に一息ためると、花びらの先がとがらないです。内側へは同じ力加減で一気に描きます。力を込めて描いても、線の太さが変わらないように、筆は裏返して描きます。曲がっている穂先が下です

ここで、力を入れて描くと、筆の廻りに墨が押し出されて、縁取った線が自動的に浮かび上がります。これが出ると満足感溢れて幸せですねぇ。花びらは、まず○を描くように一番前の部分を描きます。次に、隠れてる部分を描いて、密集感をだします。真ん中が多少ずれても大丈夫です。

花芯は濃い墨で、先を尖らせて描きます。花びらの描き終りのバラバラ感も、花芯を描くときに修正できます。最後に、花を支える茎を、勢いよく描きます。